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綴事・詩
by umitubame330
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小人の花屋
彼らの仕事は決まって 宵の頃始まる。
大切に育てあげた 花の蕾に
ひとつひとつ 耳を傾ける。
「水が欲しい」
「もっと南側の日の光をくれ」
「小さな虫がじゃまなんだようぅ。」
話をきき、手入れして
飽きもせずにすべての蕾たちを愛でる。
そして
「今日咲くよ」
なんて声が聞こえたら
大急ぎで 女王様を呼びに行くのだ。
女王様はその蕾を
優しく抱いて そっとキスをする。
すると蕾の中は 小さく 光りだし
かすかに甘く 香りだすのだ。
そして朝日が昇るとともに
小人たちが 各々 楽器を持って奏で始めると
蕾はますます輝き 虹色に変化する。
小人の演奏に蕾が酔いしれている間に
茎を切るのだ。
それをそのままお店へ並べる。
小人の花屋は蕾の花しか売っていない。
彼らの花は 渡す人、受け取る人の心の温度差で
花開く。
だから昨日、君にプレゼントした花は
君が触れたその瞬間に
君の好きな あの香りを放って
俺の好きな この色に染まって
花咲くんだ。
by umitubame330
| 2005-10-07 21:23
| ココロ。
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